相続相談事例

不動産を相続するということ…。

例えばこのようなご相談…

父が所有する不動産を3万円で賃貸していた。土地は借地。その後父親が亡くなり、当たり前のように不動産を相続し収益を得ていたが、その後賃借人が引っ越した。

物件は駅から遠く袋地になった通路奥の不便な場所にあり、建物は築50年と古く雨漏りもしている。賃借人がいなくなったいま、入居者が入る見込みもない建物に対して地代は払い続けなければならないか?というご相談。

結論としては、借りている土地に対して地代が発生しているので、地代は払わなければなりません。

契約書を確認すると、土地返却の際には更地にして返却と書いてあります。それを承知で相続したというのであれば、問題ありません。解体して返却し契約終了です!

問題は知らなかった(確認していなかった)という場合です。負の不動産を背負ってしまい途方に暮れているというケースが後を絶ちません。

相続は事前の相続対策が必要です。

弊社に来られるお客様のほとんどが相続発生後に取得した相続不動産についての売却、空き家対策、空き家活用、相続登記等についてのご相談に来られます。

ですが実際には相続前の対策が必要な場合がほとんどです。先ほどの事例もそうですが、相続発生前に専門家と繋がって対策をとっていれば防げた事例の一つです。

そもそもうちは相続税がかかるの?

相続税の申告は、相続開始の日(亡くなった日)から10か月以内に申告しなければなりません。その場合、相続税がかからなければ申告の必要はありません。
(※配偶者の税額軽減や小規模宅地の特例等、税法上の特例を使って税額がかからないようにする場合は申告が必要です)

では相続税がかかるかどうかをどのように判断するのでしょうか?

相続税は、相続する財産を合計したものから債務(借金及び葬式の費用)を差し引き、「基礎控除」を引いた金額がプラスであれば相続税がかかります。

「基礎控除」とは、3,000万円+(法定相続人×600万円)の計算式で表し、例えば、相続人が配偶者と子ども2人であれば、法定相続人は3人になります。この場合の計算式は、
3,000万円+(3人×600万円)=4,800万円となります。

この場合、財産(現預金・有価証券・不動産など)から債務を引いた金額が4,800万円を超えれば相続税がかかります。

現預金や有価証券などは、流通している金額で評価するので特に問題はありません。

評価が難しい不動産

では、不動産についてはどうでしょうか。不動産と一口にいっても色々ありますので、ここでは実家の不動産を相続した場合の評価についてお伝えしたいと思います。

家屋については固定資産税の税額のもととなる固定資産税評価額が建物の相続税の評価額になります。こちらは毎年5月頃に届く固定資産税の納付書に記載されています。

次に土地の評価額についてですが、一般的には国税庁が路線価というものを公表しておりますのでそちらで確認することができます。

ここで問題なのが分けられる財産と分けられない財産があり、家族がもめているほとんどのケースが分けられない財産の場合です。

分けられる財産と分けられない財産

 

分けられる財産分けられない財産

相続人が二人以上いれば、遺産をどう分けるかを話し合う必要があります。この話し合いのことを「遺産分割協議」といいます。

遺産分割協議で一番難航するのが、分ける財産が少なく、それが不動産という場合です。
財産が多ければ、種類が違っても価値が同等のものであればケーキのように分け合うことができます。仮に財産が少なくても現預金なら分けることも容易ですよね。

ですが、相続財産が分けられない不動産だとケーキのようにはいきません。お鍋の具材の取り合いでもめてしまうのが不動産という名の財産です。

そこで一旦もめないために名義を共有するという方法があります。物理的には分けられない不動産の「権利」を分けて持つということ。「持ち分割合2分の1」や「持ち分割合3分の1」などと表現されています。

なるほど!それは名案!と思うかもしれませんが、実はこれが一番厄介で先々の明暗を分けてしまう選択となってしまいますのでお気をつけください。

例えば、相続した実家の土地建物を兄弟2人で相続したとします。そして共有名義で登記をした場合、将来、弟が「売りたい」と言っても、兄の同意がなければ売ることができません。

そして再度、「相続をした実家の土地建物をどうするか」の話し合いを要することになります。

そしてその時に兄が認知症と診断されていれば判断能力がないとみなされ、家庭裁判所に行って法定後見人をつけなければならず、なかなか前に進みません。

またこの時に兄が亡くなっていれば、兄の子に権利が代襲相続され、子どもが多ければ多いほどどんどん複雑になっていきます。

このように共有名義は単に判断の棚上げにすぎず、将来に渡って、ずっと「相続した実家の土地建物を持ち続ける」のでなければ、相続した時点で売却して現金化(兄弟で分ける)することが望ましいです。

今回は分けられない財産の一つ、不動産の事例についてお話しましたが、相続は様々な事柄が絡みあい、放っておくとどんどん複雑になっていきます。

お金のこと、税金のこと、保険のこと、納税資金、遺産分割協議、登記、不動産の評価・運用・売却、戸籍、死後事務委任、遺言、身上監護、認知症対策、家族信託、臓器提供の意思表示、生前整理・遺品整理、古物評価等々。

明らかに相続税がかかるお客様については是非相続前対策をされることをお勧め致します。